2016/04/25
ストーリーはとりあえず書き始めることで作り出す
夏目漱石、カール・ヒルティも「とりあえず書き始める」
「まず何よりも肝心なのは、思い切ってやり始めることである。仕事の机にすわって、心を仕事に向けるという決心が、結局一番むずかしいことなのだ。一度ペンをとって最初の一線を引くか、あるいは鍬を握って一打ちするかすれば、それでもう事柄はずっと容易になっているのである。ところが、ある人たちは、始めるのにいつも何かが足りなくて、ただ準備ばかりしていて(そのうしろには彼らの怠惰が隠れているのだが)、なかなか仕事にかからない。そしていよいよ必要に迫られると、今度は時間の不足から焦燥におちいり、精神的だけでなく、ときには肉体的にさえ発熱して、それが仕事の妨げになるのである。また、他の人たちは特別な感興の湧くのを待つが、しかし感興は仕事に伴って、またその最中に最も湧きやすいものなのだ。仕事は、それをやっているうちに、前もって考えたものとは違ったものになってくるのが普通である。」